アートパワーを感じられる短編小説『〈あの絵〉の前で』原田マハ 幻冬舎文庫

原田マハ

原田マハさんの『<あの絵>の前で』を読みました。
アートのパワーを感じられる短編小説で、日常にある悩みなどを題材にして1枚の絵を通して物語が動いていく話です。ストーリーごとに教訓などがありましたので、その教訓というか学んだことや考えたことを記載しようと思います。

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●ハッピー・バースデー

『ドービニーの庭』1890年フィンセント・ファン・ゴッホ ひろしま美術館所蔵

就職活動に悩んでいる中で出会った一枚の絵。就職活動とふるさと、家族、友人。苦しみの中で一枚の絵が人生を動かし、どうなるかわからない人生に静かに影響するのだと思う話でした。

●窓辺の小鳥たち

岡山出身の高校から15年以上付き合ってる恋人が大原美術館でのデートのエピソードを思い出す。そこで出会ったパブロ・ピカソの『鳥籠』(1925)そこでの鳥の解釈の話が面白く、そんな見方があったのか‼︎と驚きました。自分が感じたこと比べると面白いです。自分の人生もっと自由でいいんだと思える話でした。

●檸檬

会社に溶け込めず、昔から地味で空想のキャラクターを作っていた主人公の女性。高校時代、美術部に入部し、甘酸っぱい恋愛とコンクールのエピソードが回想され…

ポーラ美術館で開催されていた〈セザンヌー近代絵画の父になるまで〉で見つけたポール・セザンヌの『砂糖壺、梨とテーブルクロス』からやり残したことや後悔したことをまたやってみようと思いました。

●豊饒

作家を目指す主人公が、ひょんなことから豊田市美術館のチケットをもらう。夢を応援してくれていたおばあちゃんからの一枚のポストカード。ダスタフ・クリムトの『オイゲニア・プリマフェージの肖像』が描かれた応援メッセージを回想する。夢を諦めない気持ちと親しい人への感謝はちゃんとつたえたい。
温かくて笑えるくらい面白くて本書の表紙に関連した話だけあって1番好きな話でした。

●聖夜

東山魁夷『白馬の森』長野県立美術館が中心になった本でした。家族愛が語られたエピソードでした。子供が産まれた感動やあの時言えなかった言葉の後悔、そして美術館の絵。最後はウルウルくる感動と後悔とか色々な感情でジーンとなる話でした。

聖夜の意味もわかると本当にエピソードが変わります。原田マハさんの感動の魔法にかけられます。

●さざなみ

パワハラで悩まされて体調不良になった主人公の女性は偶然テレビで見た香川県直島のアートランドに行くことを思い立つ、そしてその中でも地中美術館にあるクロード・モネ『睡蓮』を見に。

知らなかったのですが、本文に展示室に入る前に靴を脱いでスリッパになるそうです。WEBで調べたら「本当の豊かさを考える場所」をコンセプトにしているようで、スリッパになることでリラックスでき絵と深く向き合え対話できそうです。

この間テレビでも香川県の観光客が増えているということをやっていました。理由は直島でした。有名な草間彌生さんの赤い水玉のオブジェなどのアートと現地の風景や古民家などが一体となっていて、日本の生活や気候を感じながらアートを楽しめるのが人気だそうです。インスタ映えではなく純粋に楽しみにくる観光客を見て、自分もいつか行ってみたいと思いました。やっぱり行動第一ですね!

本書を読んでいて思いましたが、仕事の間にドイツなど海外みたいに1ヶ月から2ヶ月の充電休暇が本当に必要だと思いました。忙しい毎日から離れて、旅に出て新しいものに触れたり、食べ物を食べて美味しいと感じて、景色を観て感動する。時間を忘れてひとつひとつと向き合ったり、対話したり感じたりすることが大事だと思いました。仕事のモチベーションになったり、感性を高めて人生がより良いものになると思います。

アートにはパワーがある!

僕もまたアートパワーに助けられた1人として実感します♪


〈あの絵〉のまえで (幻冬舎文庫 は 25-6)

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