読めばモネが好きになる!『モネのあしあと』原田マハ(幻冬舎文庫)

原田マハ
そらいちくん
そらいちくん

原田マハさんの『モネのあしあと』を読みました。「印象ー日の出」「睡蓮」以外にも夫人などを描いた綺麗で温かい絵だな〜と思って絵画が好きでした。しかし、本書を読んで、絵だけでなくモネ自身を好きになることができました。

モネの絵との出会いは、原田マハさんらしい面白くてインパクトのあるエピソードでした。のっけから笑ってしまいました。面白い話だけでなく、クロードモネの幼少期や生い立ちなどの概略が書かれてい非常に勉強になりました。特に、3つの重要な出来事からなぜモネという魅力的な画家が確立されたのか、生きた時代をもとに記載されていてモネが何に影響され有名な画家になったか理解できました。

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モネの重要な出来事

フランス革命や産業革命が始まり「オスマン計画」というパリの現在の都市の形ができたことが詳しく書かれています。そして、その流れからアカデミーとサロン入選の意味やパリ万国博覧会とジャポニズムから印象派への流れが書かれていていました。絵画を見るとき歴史背景を知っているとより楽しめるのでわかる範囲で調べたりするのですが、この本で記載されていることを読んだだけでも印象派やモネ、同時代マネ等の作品を楽しめそうです。

この話を読んでいて、今の時代に印象派のような素晴らしく人々を感動させる作品や画家がたくさん出ないのか考えてしまいました。輩出されないかというより、むしろ、なぜその時代に多く生まれたのかと考えた時、その時代の流れや出来事や雰囲気などタイミングや条件が重要なんだとつくづく思ってしまいます。
昔はスマホやテレビなどがなく娯楽の選択肢などが少なかったと思います。都市も整備されるまでは道が汚く糞尿が落ちてきてヒールが生まれたりとしていたところに、都市計画で綺麗になりパリや絵の具が外に持ち運べるようになったことなど様々な要素があの時代のタイミングでできたからこそ生まれたと思います。

また、アカデミーという絶対的な存在を反発して否定することでも生き残れる雰囲気ができていこと技術革新や万国博覧会とジャポニズム、都市改革とカフェテラスでのアーティスト同士の交流ができたりと時代の変革がこの印象派モネにとっては大きく作用されていると感じました。同時期に画家であったゴッホは、生前1枚しか絵が売れなかったと言われており対照的です。

モネの絵の魅力を解説

「モネの絵がなぜ没入できるのか」「なぜモネに惹かれるのか」モネの人生で重要な3つの出来事や時代の背景を含め記述されています。

特に、瞬間瞬間を描くためにすごい早いタッチで描くそうです。実際にどのように描いたか実際に観てみたかったです。実際に原田マハさんは映像で見たみたいですが、とても早くて次々に変化を描き留めるのが印象的だと書かれていました。

魅了を再認識するために以前読んで内容を忘れてしまったのですが『ジヴェルニーの食卓』を再読してみようと思いました。

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第5章の鑑賞についてが面白い!

モネを鑑賞できる美術館を海外編、国内編として紹介されています。特に面白いのは、書斎もパリに持っているマハさんならではの面白さがある海外編です。
モネの作品が置かれている「オルセーオランジュリーマルモッタン・マネ」の3つの美術館が紹介されています。
なかでもオランジュリーの早朝の睡蓮の連作の素晴らしさが書かれており、死ぬまでに一度は見たいと思いました。また、鑑賞プランやアドバイス後、ランチ情報がとても良い情報でした。

感動のエピローグ

エピローグでのオランジュリー美術館からの手紙のエピソードは、凄い美しく優しく励まされるものでした。

離れていても、いつもそこにある美術館。温かい家族のような存在。勇気づけられる存在です。

本書に出てくる絵画

第1章
●クロード・モネ「印象ー日の出」 
●クロード・モネ「睡蓮」
●クロード・モネ「サン=アザール駅」(1877)
●ルノアール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」(1876)
第2章
●ウィリアム・ブグロー(1825−1905)「ニンフとサテュロス」
 幻想的で美しい光の当たる女性は如何にもヴィーナスで魅惑的であり見惚れてしまう。躍動感と力強い人物たちは魅力的に描かれています。表情もイタズラっぽく、肉体の動きも綺麗で魅了されてしまいます。水や葉っぱなども細かく描かれており、今にも触れそうで、触った感覚が伝わってきそうです。
●ウィリアム・ブグロー「ヴィーナスの誕生」(1879)
●アンリ・ルソー「幸福な四重奏」(1902)
●エドゥアール・マネ「オランピア」(1863)
●エドゥアール・マネ「草上の昼食」(1862−63)
●ラファエロ・サンティ「パリスの審判」(1515)
●マルカントニア・ライモンディ「パリスの審判」銅版画(1515)
●歌川広重(1797−1858)「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」(1857)
●ジェームズ・アポット・マクニール・ホイッスラー「陶器の国の姫」(1863−1865)
●トゥルーズ=ロートレック「喜びの女王」(1892)
●源氏物語絵巻
●クロード・モネ「ラ・ジャポネーズ」(1876)
●ジェリコー(1791−1824)「メデューズ号の筏」
●クロード・ロラン(1600−1682)「夕日の港」
●クロード・モネ「草上の昼食」(1865−66)
●ロダン「ベルザック像」(1891−98)
●「カレーの市民」(1884−86)「考える人」(1881−82)
第3章
● クロード・モネ「死の床のカミーユ・モネ」(1879)
● クロード・モネ「氷塊(セーヌ河の解氷)(1880)」
● クロード・モネ「クルーズの峡谷」の連作(1889)
● クロード・モネ「積み藁」の連作(1891)
● クロード・モネ「ポプラ並木」の連作(1892−93)
● クロード・モネ「ルーアン大聖堂」連作の「ルーアン大しどうのファサード、曇天」
第4章
●パブロ・ピカソ「ゲルニカ」(1937)
第5章
●アンリ・ルソー「女性の肖像」(1895)
エピローグ
●ダ・ヴィンチ「モナリザ」(1503−1519)

目次

はじめに
クロード・モネの関連地図
プロローグ 私とモネとの出会い
第1章モネが生きた新時代
第2章印象派絵画の新しさ
第3章モネのあしあとを追って
第4章小説『ジヴェルニーの食卓』について
第5章マハによるモネのあしあと案内
エピローグいま、改めてモネと出会う意味
花は咲いているーあとがきにかえて
参考文献
モネ作品を所蔵する施設データ

『モネのあしあと』原田マハ(幻冬舎文庫)より
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