何があっても生きて前に進む!『まぐだら屋のマリア』原田マハ(幻冬舎文庫)

原田マハ

今回は、原田マハさんの『まぐだら屋のマリア』(幻冬舎文庫)を読みました。

全体的に決して明るい話ではないですが、ところどころ希望がある内容でした。ちょっと不快に思う内容(どろどろな恋愛等)だな〜と思う人も多いと思います。作者の意図とは違うと思いますが、ある意味ミステリー感覚で読み、この後どうなるんだろうとどんどん読み進めることができました。

あらすじとしては、生きることを諦め東京から逃げてきた紫紋は、尽果という地につき定食屋「まぐだら屋」で左手の薬指がない女性マリアに出会い。。。という感じです。

全体を通して、「何があっても生きて前に進む」という強いメッセージを感じました。

今回の本は原田マハさんの本では珍しく絵画の話は一切なく、表紙の絵くらいでした。

表紙の絵は、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ『受胎告知』です。大天使ガブリエルがマリアに妊娠を告げる宗教絵画です。よく観る「受胎告知」では、金輪がついた天使が片足をつき告知する。それを無表情でマリアは受けるのだ。だがこの絵では、金輪のない天使がベット脇に立ち花を持って受胎告知をしている。受胎告知を受けたマリアは壁にのけぞり少し怯えた感じが出ています。普通の感覚なら急に出てきた天使に妊娠を告げられたらびっくりして少し怯えて逃げようとすると思います。ある意味、通常の反応を描いていますが、宗教画という厳格な歴史を考えればなかなか思い切った描き方になっています。

本の内容とタイトルがなぜこうなったかわかりませんが、ヒロインマリアを希望やなんでも受け入れてくれる聖母として書くことで生きる希望にしたのかなと思います。

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