ピカソとその時代の絵画がわかる!『ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』西洋美術館

美術展
そらいちくん
そらいちくん

そらいちで〜す。

西洋美術館で開催されている『ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』を観てきました。

こんなにピカソに触れたのは初めてかもしれない。そう思いました。しかも、ずっと見たいと思っていたクレーの作品とともに見れるなんて、こんな素敵なことがあるんだな〜と幸せな展示でした。

ピカソの絵は、見れば見るほどどんどん惹かれていき最終的にすごい好きになっていました。特に、パンフレットにもなっている『緑色のマニキュアをつけたドラ・マール』は、彼女の美しいところだけを描いたこの作品は、見れば見るほど見惚れ、美しく見えました。この作品のモデルとなったドラを原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫)で知りどんな人だろうと思ってましたが、イメージ通りの人でした。強く綺麗で、マニキュアや口紅が綺麗でした。

また、展示方法がすごい良かったです。ベルクグリューン氏のコレクションは、ピカソの古典主義から青の時代そして、薔薇の時代からキュビズムまでの作品が時代順に綺麗に残っています。
特に、青の時代が終わる間際の『座るアルルカン』(1905年)までの作品とそれからの作品への解説がとても勉強になりました。
そして、その変化が絵画を見るだけで明らかにわかる素晴らしいコレクションでした。戦争の時代を生き抜いた画家の苦悩も絵からわから伝わり、画家の気持ちがわかった気がします。


暗幕のゲルニカ(新潮文庫)
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●ベルリン国立ベルクグリューン美術館とは

 ドイツのベルリンにある国立美術館です。この美術館の名前になっているハインツ・ゲルクグリューンは、1914年から2007年を生き、近年まで活躍されていたドイツ生まれの美術商です。個人コレクターとして有名で、特に、ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティがコレクションされており、20世紀の美術史がわかるコレクトになっています。彼が集めたコレクションを2000年にドイツ政府が購入して、2004年にベルクグリューン美術館として国立美術館となっています。

ピカソ、マティス、クレー

●パブロ・ピカソ
 ピカソは、「古典主義→青の時代→薔薇色の時代→キュビズム(その中でも色々変化)」と作品が変化していきます。先程記述したように、どう変化したかわかりやすい解説と作品群となっていました。苦悩の背景や恋をするたびに変わる作品、直線だが奥行きがあるデフォルメは、魅力を一つ一つ切り取りくちぐはぐに描くことでさらに魅力が上がることがわかります。また、横たわるラフや闘牛士の主題多く、ブラック、クレー、マティス、そしてセザンヌとの出会いがどのように影響を与えたか本だけではわからない作品から学べました。

●アンリ・マティス
 平面化と簡略化や単純化された切り紙貼り絵は、今にも動きそうな躍動感があります。切り絵なら自分でもできそう!とか思ってましたが、綺麗な構図や表現したい対象への着目点やそれを表現する配置や空間把握力が凄いと思いました。

●パウル・クレー
 バウハウスでも教鞭を取っていたスイス出身で音楽一家で育ったパウル・クレーはバイオリンもプロ級だったそうです。彼の絵画は音楽に影響を受けております。例えば、『赤のフーガ』のフーガはバッハなどが得意とした音楽形式でカエルの歌のように主題をあとから伴奏していくことで、そういう音楽形式を絵にしています。そう言われてみるとどことなく音楽を絵にした感じで音符が散りばめられてたり、強弱があったり、パイプオルガンぽいなと思う作品が多い気がします。

美術検定公式テキストに出てきたジャコメッティの作品

テキストにあって存在は知っていたものの、実際に見てみると大きさもさることながら極限まで削ぎ落とした彫刻は想像以上に洗練されており、黒々としたオブジェなのに僕には、不快感を与えず輝いているように見えました。テキストでは、真逆の感想ですが・・・

家でも楽しめる

 中学生以下に『ジュニア・パスポート(鑑賞ガイド)』を配布しています。高校生以上でも西洋美術館のホームページからダウンロードできます。実際ダウンロードして取り組んでみましたが、これが実に面白いです。今回の展示について、3ページ記述があった後、4ページにわたって「やってみよう!」コーナーがあります。絵を見て想像を働かせて自分の言葉で表現したり、実際に自分で工作してみたりと1時間くらい楽しめました!絵を見て、心の中で感想を述べたりするのでなく、実際に声に出したり、書いたりすることで絵の見方が変わるような気がしました。

鑑賞して気に入った作品

『青の風景』1917年パウル・クレー

 僕がパウル・クレーの作品の中で1番好きな『ニーゼン山』に似て四角いカラフルなパッチワークのような模様がたくさんあります。パッチワークのような家はカラフルで温かい楽しい色をしていて街の楽しい雰囲気が伝わってきます。空は青いですが、昼間の明るさではなく月や星のある落ち着いた青をしています。第一次世界大戦従軍中に描かれているので平和な日々を願って描いたのかもしれません。

『緑のマニキュアをつけたドラ・マール』1936年 パブロ・ピカソ

 まず目をひくのは卵形の白い顔と大きな目です。左側に寄せて描かれているため右側に空間ができ、その空間が彼女の眼をさらに魅力的なものとしています。眺める眼はどこか儚げでうっとりとしていて、右目はこちらを見ていて目が合うとドキッとします。魅力的な見え方の部分をつなぎ合わせて描かれている構図はどこから見ても綺麗に見え、ドラの魅力を伝えています。
 フランスの写真家であり画家であるドラ(1907-1997)は、1936年に出会い1946年まで愛人関係にあったと言われています。『泣く女』などのモデルにもなってピカソの芸術活動を支え、刺激し合うことで素晴らしい作品の源泉ともなったかただと思います。モデルだけでなく、写真家という側面から『ゲルニカ』の制作過程を記録していました。

『窓辺の静物、サン=ラファエル』1919年パブロ・ピカソ

 開け放たれた窓に流れるような雲と青々とした海が描かれている。窓の前にある机には恐らくギターや楽譜でしょうか無造作に置かれていています。サン=ラファエルはフランス南東部の観光保養地のようで、この絵画も開け放たれた窓と風景からリラックスしてる雰囲気を感じ、無造作におかれた机のものがリラックスるしている感じを受けました。見ているだけで、穏やかな気持ちになりお気に入りの作品になりました。

『闘牛士と裸婦』1970年パブロ・ピカソ 

 美術展の解説からピカソは闘牛士に強く惹かれ何作も描いたと書かれていました。情熱的で紳士的な闘牛士と装飾品を身につけた裸婦の絵は情熱的な愛を物語っているようです。強烈な印象を与える荒々しくも情熱的で冷静な青と赤を男性女性の背景に、おき、鮮やかな地面は緑色になっています。何か男女の心の中(または気持ち)と青と赤で表現し、地面で現実を表して、恋の駆け引きを表現しているよう感じて目が離せない作品でした。

『ニースのアトリエ』1929年アンリ・マティス

 フランスの南東部にある都市で、海と綺麗な建物が並ぶ世界有数の観光地であるニースのアトリエを描いた本作品は、今回の展示でメインとなる切り絵ではなく油絵です。マティスのイメージは、強烈な色彩で濃く描かれていていかにもフォーヴィスムと言われうような作品でしたが、この作品は、アトリエということもあり、穏やかでゆったりした気持ちになる作品でした。正面の大きい窓には、空や雲、そして海が描かれており、部屋には、黄色いカーテンカーペットや色々なところに椅子やキャンバス鏡など制作で使う道具が置いてあり、ここがアトリエであることがはっきりとわかります。ニースのイメージにあったゆったりとした観光地にあるアトリエの雰囲気が心穏やかにしてくれる素敵な作品でした。

展示場概要 

西洋美術館に久しぶりに観にいきましたが、展示場が広く、展示ルートが綺麗な線になっているので観やすいな〜と改めて思いました。作品にじっくり浸れる素晴らしい時間でした。
開催概要は以下のとおりです。

開催期間:2022年10月8日(土)~2023年1月22(日)
開催場所:国立西洋美術館
特別展示URL:https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2022picasso.html

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